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臨床検査技師の将来性は?AIでなくなるか18年の現場から解説

臨床検査技師の将来性は?AIでなくなるか18年の現場が解説

「臨床検査技師の将来性は暗いと聞くけど本当?」「AIが進化したら仕事はなくなるの?」——検査の自動化やAIのニュースを見て、漠然とした不安を抱く方は少なくありません。臨床検査技師の将来性とは、AIや検査自動化が進むなかで職種としての需要・業務範囲・働き方がどう変化するかという論点です。結論から言えば、当日結果を求められる現場検査や異常値の解釈は人に残り、有効求人倍率も1.71倍(2023年度)と高水準にあります。一方でルーティン業務の自動化は進み、求められる役割は移りつつあります。臨床検査技師歴18年、検査科科長を経て現在は病院経営課長を務める運営者が、現場とエビデンスの両面から将来性を整理します。

この記事でわかること

  • AI時代でも需要は堅調: 当日結果が必要な現場検査は自動化後も人が残り、有効求人倍率は1.71倍(2023年度)と報告されています。
  • 仕事は減らず役割が移る: ルーティンは自動化され、技師はチェック値の設定・異常値の解釈・患者対応へシフトすると考えられます。
  • 業務範囲はむしろ拡大: 2015年の検体採取追加、2021年のタスク・シフトで、法的な業務範囲は広がっています。
  • 最大の強みは選択肢の広さ: 病院・検査センター・健診・各種メーカー・治験など就職先が広く、変化に対応しやすい資格です。
目次

臨床検査技師の将来性は明るい?まず結論から

臨床検査技師の将来性について、運営者は「比較的明るい部類にある」と考えています。断定はできませんが、その判断にはいくつかの客観的な根拠があります。

まず需要面です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、臨床検査技師の有効求人倍率は1.71倍(2023年度)と報告されています。これは医療・福祉分野全体を丸めた数値ではなく、職種単独の値です。1倍を上回るということは、求職者よりも求人のほうが多い状態を指します。

供給面では、養成校(大学・短大・専門学校)は全国で95校が日本臨床検査学教育協議会に登録されています(最新の会員施設一覧)。なお、衛生検査所や健診センター、企業(治験・製薬等)まで含めた就業者の全数を網羅する公式統計は存在せず、病院・診療所の常勤換算では約6.6万人規模が把握されています(厚生労働省 医療施設調査)。総数の断定はできませんが、医療現場に一定規模の技師が継続して必要とされている点は確かです。

背景として、日本は長寿化が進み、内閣府の資料では2060年頃に女性の平均寿命が90年を超えると見込まれています。「健康に長生きする」という健康寿命の延伸が政策的な目標となり、その実現に検査・医療は欠かせません。医療業界そのものの需要が縮みにくいことが、検査技師の土台を支えています。

AIで臨床検査技師の仕事はなくなる?残る理由

「AIで臨床検査技師の仕事はなくなる」という不安は根強くありますが、現場の実感としては、仕事そのものがなくなるというより、人がやる範囲が移っていくというのが近いと考えられます。

最大の理由は「当日結果を出す必要性」です。検体を検査センターへ輸送するとどうしても時間がかかります。緊急の判断が求められる入院・外来の検査は、現場である程度こなせなければ成り立ちません。輸送に時間をかけられる特殊検査や検体数の少ない検査は、これまで通り外注(検査センター)に回す——この使い分けは、自動化が進んでも基本構造として残ると考えられます(臨床検査技師の視点)。

では自動判定はどうか。運営者は、自動判定そのものはむしろ積極的に使うべきだと考えています。すべての結果を人が目視する必要はありません。要点は、自動で流してよい結果と、人が止めて確認すべき結果を分ける「チェック値の設定」にあります。ここが最重要で、設定がおかしな数値だけを人の眼で拾えるようにしておけば、効率と安全性は両立します。機械が結果を出すこと自体より、その結果を解釈し、異常を見抜き、設定を最適化する人間が残る——これが「自動化検査を解釈できる技師は消えない」と言われる構造です(臨床検査技師の考察)。

実際、検査センターではデータ確認の自動化はすでに当たり前です。病院ではまだ人の手による確認が多く残りますが、これは技術的な不可能さというより運用の選択に近い面があります。だからこそ、自動化を前提に「人がどこで価値を出すか」を設計できる技師の重要性は、今後むしろ高まると考えられます。

Q. 臨床検査技師の仕事はAIでなくなりますか?

A. 完全になくなる可能性は低いと考えられます。検体輸送に時間がかかるため当日結果が必要な現場検査は人に残り、自動判定後の異常値チェックやチェック値設定など、解釈・判断を担う役割はAI導入後も求められるためです。

検査技師はAI時代にむしろ強い?すでに「淘汰」を生き延びた職種

運営者は、臨床検査技師はAI時代にむしろ良いポジションになったと考えています。かつては「いずれ淘汰されるのでは」と感じた時期もあったといいますが、見方が変わったのには理由があります。

実は臨床検査技師は、AIが登場するずっと前に、検査機器の自動化によって一度大規模な人員削減を経験している職種です。生化学検査の自動化などで効率化の波を一度くぐり抜け、それでも現場に残っているのが今の状態です。言い換えれば、すでに「機械に置き換えられる部分は置き換えられ、人が担うべき領域に収れんした」あとの姿だということです。だからこそ、AIによる新たな自動化に対しても淘汰されにくいと考えられます(臨床検査技師の考察)。

残る理由は領域の性質にもあります。生理機能検査は超音波などの手技や対人対応を含み、ブルーカラー的な要素が残るため自動化しきれません。検体検査も、前処理や異常値の最終確認など最低限の部分は人の手が必要で、完全に排除することは難しいと考えられます(臨床検査技師の考察)。

この観点を逆から見ると、AIが得意とするのは定型的でパターン化された処理です。したがって、ルーティン比率の高い事務系のホワイトカラー業務ほど、自動化の影響を受けやすい面があると考えられます。運営者は、病院のなかでもこうした定型業務の比重が大きい職種のほうが、検査技師より影響を受ける部分が大きいのではないかと見ています。もっとも、これはあくまで運営者の見立てであり、特定の職種の将来を否定するものではありません。たとえば薬剤師の服薬指導のように、対人での専門的判断を伴う業務は引き続き人に残ると考えられます。

一方で、看護師・介護職・理学療法士などのリハビリ職・診療放射線技師のように、対人と手技を強く伴う職種は今後も残りやすいと考えられます。臨床検査技師も、手技・解釈・対人という人に残りやすい要素を併せ持つ点で、この「残る側」に位置づけられます(臨床検査技師の考察)。

Q. 臨床検査技師はなぜAIに淘汰されにくいのですか?

A. 検査機器による自動化・人員削減を過去に一度経験し、人が担うべき領域に収れんした職種だからです。生理検査の手技や検体検査の最低限の人手など、完全には置き換えにくい部分が残るためと考えられます。

業務範囲はむしろ拡大している(検体採取・タスク・シフト)

将来性を不安視する声とは裏腹に、臨床検査技師の法的な業務範囲はこの10年で拡大しています。

2015年(平成27年)には、鼻腔・咽頭の拭い液採取や皮膚表在部位の組織採取などが業務に追加されました。さらに2021年(令和3年)10月の医療法等の改正によるタスク・シフト/シェアで、静脈路の確保、造影剤の静脈内注射(接続)、成分採血装置の操作、直腸機能検査などが加わっています。いずれも実施には厚生労働大臣指定の研修受講が必要です。AIで仕事が奪われるどころか、人が担える領域は制度的に広がっているのが実態です。

ここで読者が抱きやすい疑問が「業務が増えて、給与や待遇は実際に上がったのか」です。これについては、運営者の経験からも一律に「上がる」と断言はできません。運営者自身は検査技師から病院経営課長に回った経歴を持ちますが、検査技師から経営側に回る人間はほとんどおらず、一般化できる事例ではないという前提があります。そのうえで、管理職としての待遇は個室が与えられ裁量権もあり、悪くなかったと振り返っています。一方で、病院の意思決定者は必ずしも経営のプロではなく、現場の感覚と噛み合わない場面も多かったといいます(臨床検査技師の視点)。業務範囲の拡大が待遇向上に直結するかは、研修コストや人員配置、診療報酬上の評価など複数の要因に左右されるため、「拡大した=必ず処遇が上がる」と短絡しないほうが現実的です。

Q. タスク・シフトで臨床検査技師の給料や待遇は上がりましたか?

A. 一律に上がるとは言えません。業務範囲は2021年改正で拡大しましたが、処遇は研修コスト・人員配置・診療報酬上の評価などに左右され、施設差が大きいのが実情と考えられます。

臨床検査技師の強みは「選択肢の広さ」

運営者が臨床検査技師という資格の最大の財産と考えているのが、就職先と検査内容の幅広さです。

診療放射線技師や理学療法士は、病院以外の就職先が比較的限られます。これに対して臨床検査技師は、活躍できるフィールドが広く確保されています。

  • 検査センター(登録衛生検査所)
  • 健診センター
  • クリニック
  • 検査機器メーカー
  • 試薬メーカー
  • 製薬メーカー
  • 美容関連企業
  • 治験(治験コーディネーター等)
  • 医療コンサルティング

検査機器メーカーだけでも企業数は多く、検体検査から対人の生理機能検査まで業務の幅も広いのが特徴です。「病院が合わなければ別のフィールドへ移れる」という、残る選択肢の多さそのものが将来の安全弁になります(臨床検査技師の視点)。一つの場所に固執しなくてよい資格であることは、変化の激しい時代において見過ごせない強みです。

AIの得意・不得意と、技師がシフトすべき領域

AIにも得意分野と不得意分野があります。一般に、データの正確な処理、照合、パターン化された判断はAIが得意とされ、レジ精算や定型的な事務処理のように業務として成熟しパターン化した領域から自動化が進みます。

言語分野はかつてAIの苦手領域とされてきました。ただし、AIの大学入試挑戦プロジェクト「東ロボくん」では、センター試験の英語筆記本試験(200点満点)で185点を獲得したと報じられており(ITmedia・PC Watch)、苦手とされた領域でも進歩が見られます。これは全科目の総合点ではなく、あくまで英語筆記という特定科目の結果である点には注意が必要です。

重要なのは、AIの進歩を前提に「人がどこへシフトするか」です。検査の世界に当てはめれば、ルーティン化した測定・処理は自動化が進む一方、細胞診や超音波(エコー)のように経験的な判断や対人スキルが要る領域、そして異常値の解釈や患者対応は人の比重が残りやすいと考えられます(臨床検査技師の考察)。自動化を脅威ではなく「より専門的な解析や対人領域に時間を割けるようになる変化」と捉え直すことが、これからの働き方の鍵になります。

領域別に見る検査の未来

検査領域ごとに、自動化の進み方には濃淡があります。運営者の私見も含めて、赤裸々に予想を整理します。

検体検査

生化学検査は早くから自動化が進んだ分野です。それでも遠心分離や検体搬送、データ確認に人手が残る施設は多いものの、検査センターでは大規模な自動化が現実になっています。たとえばH.U.グループの大規模ラボ「H.U. Bioness Complex」では、無人搬送車による検体輸送など省人化・自動化・平準化が進められています。コストが下がれば自動化はさらに広がりますが、前述の通り当日結果が必要な現場検査は残り、特殊検査・少数検体は外注という棲み分けが続くと考えられます(臨床検査技師の考察)。

採血業務

採血を臨床検査技師が担う病院は増えています。人件費よりも、看護師不足による看護業務の縮小が背景にあると見られます。採血管にも詳しい技師は採血業務に適性があります。一方で、負荷試験で薬剤を服用させる場面など、コンプライアンス上は看護師に依頼する必要があり二度手間になるケースもあります。

将来的には、非侵襲(針を使わない)で測定する検査技術の研究開発が進んでいます。こうした技術が実用化・普及すれば、採血そのものの位置づけが変わる可能性もありますが、現時点では研究・開発段階のものが多く、断定はできません。

検体採取

2015年の法改正で臨床検査技師も検体採取が可能になりました。業務範囲の拡大という点では前向きな変化ですが、実際に運用している施設はまだ少なく、外来や処置室で看護師がそのまま採取してしまう運用も多いようです。制度はあっても普及はこれからという段階です。

生理機能検査

生理検査は現状で強い領域であり、自動化しづらい分野でもあります。超音波検査は侵襲性が低くCTの代替として用いられることも多く、医師・臨床検査技師・診療放射線技師が担っています。画像診断部として検査と放射線が統合された科を持つ病院もあり、診療放射線技師との業務の重なりが生じる可能性はあります。画像の自動判定はパターン認識的な側面があるためAIが入りやすい領域ですが、検査の実施そのものには対人の技術が残ると考えられます(臨床検査技師の考察)。

Q. 現場での検査と外注(検査センター)はどう使い分けるのですか?

A. 当日結果が必要な検査は輸送時間の都合で現場が担い、特殊検査や検体数の少ない検査は検査センターへ外注するのが基本です。自動判定を活用しつつ、異常値だけを人が確認する運用が現実的です。

これから生き残るキャリア戦略

将来が読めない時代に、臨床検査技師としてどう希少性を高めるか。運営者の考え方は、いわゆる「掛け算でレアリティを高める」発想が起点にあります。健診・治験・小規模病院・公務員・中核病院、そして経営やコンサルと経験を重ねれば、同じ経歴の人はそう多くありません。ナンバーワンを目指すよりオンリーワンを狙うほうが、結果的に生き残りやすいという考え方です。

ただし運営者は、この掛け算には重要な但し書きがあると言います。掛け合わせの価値は「どのフィールドで戦うか」で決まり、行き先が定まっていなければ価値が生まれないこともある、という点です。そして未来は読めません。今のようにAIが伸びると数年前は誰も予想できませんでした。AIの走りは昔からありましたが、当時はまったく注目されなかったのです。だからこそ、闇雲な資格の掛け算より、自分が興味を持てるものをある程度まで深めることが重要だと考えています(臨床検査技師の考察)。

運営者自身、管理職を長く務めたのは「将来管理職になろう」と狙ったからではなく、管理職での意思決定そのものが好きだったからだといいます。その延長で現在は法人を経営し、自社の意思決定を自由にできることに価値を感じ、これまでの経験が生きていると振り返ります。キャリアの掛け算は、目標から逆算するより「好きで深められること」を軸にしたほうが、変化に強い形で積み上がりやすいという示唆です。

なお、目安として「ひとつの仕事で一人前になるにはおよそ5000時間(約3年)」という感覚を運営者は持っています。腰を据えて深める期間と、フィールドを広げる動きのバランスが、希少性につながると考えられます。

まとめ|今日からできるアクション

臨床検査技師の将来性は、AIや自動化を前提にしても、比較的明るい部類にあると考えられます。当日結果が必要な現場検査や異常値の解釈は人に残り、有効求人倍率は1.71倍(2023年度)と高水準で、業務範囲も制度的に拡大しています。何より、就職先と検査領域の広さという「選択肢の多さ」が、変化への適応力を生みます。

一方で、ルーティン業務の自動化は着実に進みます。脅威として身構えるより、空いた時間をより専門的な解析や対人領域に振り向ける——そうした前向きなキャリアデザインが現実的です。なお、血液1滴や尿によるがん検査などの新技術も登場していますが、たとえば線虫を用いるN-NOSEの感度は86.3%と報告されており(HIROTSUバイオサイエンス・2023年)、「90%以上」といった確実性を保証する表現は避けるべきです。検査の手間を減らす技術は、仕事を奪うものではなく、人がより価値の高い業務に集中するための余地を生むものと捉えられます。

今日からできることは、①自動化が進んでも残る「解釈・判断・対人」の力を磨くこと、②興味を持てる領域を一つ深めること、③就職先の広さを意識して情報を集めておくこと、の3つです。選択肢が多いこと自体が、心のゆとりにつながります。臨床検査技師の難易度や他職種からの転職事情が気になる方は、臨床検査技師になるには?難易度を解説看護師の転職体験談もあわせてご覧ください。

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臨床検査技師の将来性に関するよくある質問

Q. 臨床検査技師の有効求人倍率はどのくらいですか?

A. 1.71倍(2023年度)と報告されています。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)に基づく職種単独の数値で、求職者より求人が多い状態を示します。

Q. 将来生き残るために取っておくべき認定資格はありますか?

A. 自動化されにくい対人・解釈系の専門性が有利と考えられます。超音波検査士や細胞検査士などは、経験的な判断や手技を要するため需要が残りやすい領域とされています。ただし、まずは興味を持って深められる分野を選ぶことが長続きの条件です。

Q. 病院以外にはどんな就職先・転職先がありますか?

A. 検査センター、健診センター、検査機器・試薬・製薬メーカー、美容関連企業、治験(治験コーディネーター等)、医療コンサルなど幅広い選択肢があります。近年は臨床検査技師からCRCやIT分野へ移る事例も見られます。

参考情報

  • 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「臨床検査技師」:有効求人倍率1.71倍(2023年度)/就職先内訳 https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/161
  • 厚生労働省 医療施設調査(病院・診療所の常勤換算数の参考) https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1a.html
  • 日本臨床検査学教育協議会 会員施設一覧(養成校95校) https://www.nitirinkyo.jp/member-facilities
  • 内閣府 高齢社会白書/平均寿命の推移(2060年頃に女性90年超の見込み) https://www8.cao.go.jp/kourei/kou-kei/24forum/pdf/tokyo-s3-2.pdf
  • 厚生労働省 タスク・シフト/シェア関連(臨床検査技師等に関する法律施行令改正・2021年)
  • H.U.グループ H.U. Bioness Complex(検査ラボの自動化事例) https://www.hugp.com/hu_bioness_complex/concept/
  • メドメイン株式会社 PidPort(病理診断AI支援) https://service.medmain.com/service/pidport
  • ITmedia NEWS/PC Watch 東ロボくん センター英語筆記185点 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1911/18/news116.html
  • HIROTSUバイオサイエンス プレスリリース(N-NOSE感度86.3%・2023年) https://hbio.jp/news/wp-content/uploads/2023/09/pressrelease_20230919.pdf

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