がん検査の費用はどのくらい?
がん検査をしたいけど出来るだけ費用を抑えたい。がん検診はどのくらいの費用でどの検査が受けられるのか知りたい。他におすすめな検査や、検査の受け方はないかな?
こんな疑問に答えます。
健診→治験→病院勤務を経て一転してフリーランスに。医療の現場で15年以上臨床検査技師として働いていました。もちろん検査キットも、大量に使いました。エビデンスをもとに検査技師として検査や病気について、専門用語は使わずにわかりやすい記事を書いています。
この記事でわかること
- 検診で受けられる検査項目と平均的な費用
- 人間ドックで受けられる検査項目と平均的な費用
- 検査キットで受けられる検査項目と費用
検診で受けられる検査項目と費用
検診のシステムと検査項目
検診というのは、市町村で行っている検査で政策での検診であり、「対策型健診」の事を指します。
「対策型健診」とは国ががんによる死亡者の減少や早期発見による、死亡者の減少を目的にしています。間違いやすいので書いておきますが、予防ではありません。
政策で行っているので、補助金が出ます。
厚労省が推奨する検診項目が補助金の対象です。この推奨項目を超えて検診を受けることもできますが、それは市区町村が費用を負担しています。
市町村によって異なりますので、事前に確認が必要になります。
では推奨項目ですが、5つです。
- 胃がん 50歳以上
- 肺がん 40歳以上
- 大腸がん 40歳以上
- 子宮頸がん 20歳以上
- 乳がん 40歳以上
検診でのがん検査費用
市区町村検診での費用はそれぞれ違うため、平均を探しました。
今回参考にした資料は、平成29年度市区町村におけるがん検診の実施状況調査です。
参考URL:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000208400.pdf
また個人項目に関しては日本人間ドック健診協会を参考にしました。
参考URL:https://www.kenshin.gr.jp/news/pdf/cost_check.pdf
これによると、検診項目も市区町村で異なり、人数に制限を掛けている場所もあることがわかります。
検診項目を市区町村で、集団検診項目としているか個別項目としているかは違います。この個別になっている項目は全国平均割合からざっくりと分類しました。
個別に分類されたものは人間ドック健診協会の数値を引用しています。集団と個人(人間ドックの費用をまとめ、表を作りました。
どちらにもないものは私が調べた費用を記載しておきました。
胃がん検診 | 分類 | 費用(円) |
胃部X線 | 集団 | 500-1000 |
胃内視鏡 | 個人 | 8000-10000 |
ペプシノゲン法 | 個人 | 2200-4700 |
ヘリコバクターピロリ抗体 | 個人 | 1400-2700 |
ABCリスク分類 | 個人 | 3000-4000 |
肺がん | 分類 | 費用(円) |
胸部X線 | 集団 | 0-500 |
喀痰細胞診 | 集団 | 2000-3000 |
胸部CT | 個人 | 7000-12000 |
大腸がん | 分類 | 費用(円) |
便潜血 | 集団 | 1000 |
大腸内視鏡 | 個人 | 5000-12000 |
乳がん | 分類 | 費用(円) |
視触診 | 集団 | 0 |
マンモグラフィ | 集団 | 1000 |
乳腺エコー | 個人 | 3700-4900 |
子宮頸がん | 分類 | 費用(円) |
細胞診(従来法) | 集団 | 1000 |
HPV | 個人 | 1000 |
費用は集団検診になっていれば、確実に病院よりも人間ドックよりも検査キットよりも安いです。
補助金が出ているのは普通は安くなります。これはあくまで目安です。最安値から最高値を記載しているのも、地域や場所でかなり変化があるので記載しました。
検診の課題と価値
検診は死亡率の減少を目的にしている。これが大前提です。
そして検査というのはそもそも発見率を目的にしています。なので検査の評価と検診での検査項目の評価は同じではありません。
臨床検査技師の立場としては、発見率に重きを置いて検査してきました。
この辺の価値の違いがあることを前提として知って頂きたいです。
なので、優れた検査でも優れたがん検診にはならないこともあります。
優れた検診とは
優れた検診とは、優れた研究方法によって評価されるというのが検診の場合の有効性評価の基準になっています。
その基準は
- 無作為化比較対照試験
- コホート研究
- 症例対照研究
- 記述的研究
- 横断研究
- 症例報告
- 専門家の意見
の順になっています。みなれない言葉が並んでいると思いますが、もちろん覚える必要もありません。
ただこの試験やら研究の本質だけ知って頂きたいです。この上位にあるものは全て猛烈に時間とお金がかかるものです。
何年もの間、対象となる人を追跡調査しなければならないので結果が出るのに10年とか掛かってしまうのです。
その10年の結果をもってこの検査が素晴らしいとなったとしても、10年後にはもっといい検査が出ているかもしれません。
でもその検査も10年調べないとねーってなっちゃうわけです。本当に素晴らしい検査かもしれないのにです。
そこまでしないと推奨できないなんて、足が遅すぎますよね。最終的な判断はそれでいいのかもしれませんが、今の今出来ることをやりつくしたいというのが心情です。
例えば、乳がんの検診です。平成10年のガイドラインが未だに使われています。これは特に遅い方ですが、新しいものにならないのです。20年も前のもので判断はどうでしょう。
なので、検診に関しては推奨されている検査は間違いないのですが、新しい検査も自己責任にはなりますが、受診することをおすすめします。
ペプシノゲンとピロリ菌などがいい例です。
ここまで慎重になる理由
1つです。過剰診断の恐れがあるからです。
これに関してはおっしゃる通りではあります。必要以上の検査を行い、その間に受診者を不安にさせてしまいます。
この部分は検診のデメリットとして間違いなく存在します。
時間とお金を掛けて、間違いでしたが結果では納得できない方も多いのかもしれません。
でもそれで命が助かったかも知れないのです、そこはプライスレスじゃないでしょうか。
まとめ
数年前に病院で勤務している時にも、ドックの料金を色々と調べた事がありました。その時から思ったのが、料金の差が物凄くあることです。
自由診療なので、差があって然るべきですが、凄い差があります。検査方法が同じなのであれば、結果に対する信頼性は変わりません。
検査法から選べば、値段から選ぶ必要はないです。
オプション検査と言われるPSAやピロリ菌に関しては、検査の特異性を理解したうえで更にデメリットもわかったうえで受診することをおすすめします。