がん検査の適齢期
がんにはなりたくないし、がんは怖いと思ってる。でもいつから検査を受ければいいかわからない。
友人知人が若くしてがんで亡くなった。自分も心配になったけど、まだ早いかな?
こんな疑問に答えます。
がん検査、がん検診は国も進めています。検査にも多くの補助金がでていますので、市町村からの検診の案内が来たら必ず受けましょう。
私の背景を健診→治験→病院勤務を経て一転してフリーランスに。医療の現場で15年以上臨床検査技師として働いていました。勿論検査キットも大量に使いました。エビデンスをもとに技師として検査について記事を書いています。
この記事でわかること
- がん検査の受け始める年齢について
- がん検査の死亡率から考える受けるべき検査
- がん検査の必要性
がん検査は何歳から?そして何歳まで
国の推奨する年齢
がん検査に対するアプローチとして、対策型健診と任意型健診があります。
簡単に言えば、地域で受ける事のできる住民健診。それと自分で病院などに行って行う人間ドック。ほかにも最近では検査キットでの健診もあります。
この対策型健診での推奨している年齢は疾患にもよりますが、概ね40歳からになります。はがきなどでのご案内が来ますね。
任意型には推奨年齢はないですね。いくつからも受けられます。
がん統計から考える適正年齢
がん死亡率のデータに関しては国立がん研究センターで見ることができます。人口動態統計を元に10万人当たりの死亡数が出ています。
これによると、国が推奨しているがん受診の開始時期の40歳ですが、2649です。1部を表にしてみました。
年齢 | 25~29 | 30~34 | 35~39 | 40~44 | 45~49 | 50~54 | 55~59 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
男女計 | 269 | 616 | 1145 | 2649 | 4764 | 7267 | 12211 |
男 | 135 | 258 | 469 | 1082 | 2094 | 3613 | 6873 |
女 | 134 | 358 | 676 | 1567 | 2670 | 3654 | 5338 |
※国立がんセンターから1部引用
流石に25歳くらいは数が少ないですが、35歳で推奨40歳の半数は来ています。がんは初期で見つけることが、その後のアプローチに重要になってきます。
35歳くらい、もしくは30歳からでも然るべきじゃないでしょうか?
だって何よりも大切な命の為の検査ですから。死ぬこと以外かすり傷という本が出ていました。私凄く好きなのですが、死んだらダメなのです。
死ななければまだ何とかなるという意味ですが、死んだらどうにもなりませんからそのリスクを考えれば慎重になっていいと思います。
なので30歳から検査をおすすめします!
がん検査の受けるべき検査・疾患別
最新の疾患別がんでの死亡率
最新と言っても統計には2年かかるので、2016年が最新のデータになります。死因原因は厚生労働省の人口動態統計、でかんたんに見ることができます。
かんたんに見れますが、猛烈に見ずらいのでまとめておきました。
男性の肺がんが圧倒的に多いです。
順位はどちらのトップ3も「肺」「胃」「大腸」が入っています。この3つは要注意なので、この3つの検査を強く勧める病院も多いです。
そして検査キットでもこの3つがセットになっていることが多いです。
その他で考えるのは、性差のある疾患です。男性なら前立腺11803件、女性なら乳房と子宮6345件、卵巣4758件です。
勿論どのがんも予防できるならするべきですけど、検査には時間もお金もかかるのでとりあえずこれだけというのであれば、ランキングから考えてみて下さい。
疾患別検査方法
それぞれのがん検査の検査方法を紹介したいと思います。
一口にがん検査というっても、疾患によって行うがん検査は違います。人間ドックを受診するときにはこれらを考えて、セットになっている場合があります。
今回は疾患別に受けることが推奨される検査項目を紹介します。
勘違いしてはいけないのは、健康診断、人間ドックに関しえてはスクリーニング(ふるい分け)が目的です。
確定診断には、医療機関の受診が必要になりますので注意して下さい。
肺がん(男性1位、女性2位)
肺がんの推奨される検査に関しては3つ。
- 胸部X線検査
- 喀痰細胞診検査
- 血液検査(腫瘍マーカー)
胸部X線検査
その便利さから広く普及されました。しかし検査精度に少々不安があります。とちらかといえば、広く浅く調べる検査になります。
喀痰細胞診検査
にこの検査だけで確定診断が可能な検査になります。喀痰を採取して検査します。細胞ががん化しているか直接的に判断します。
血液検査・腫瘍マーカー
CEA、SCC、proGRPなどがあります。これに関しては特異度が低い検査です。
この項目が上がったら肺がんというわけではなく、総合的な判断が必要な検査になります。高値な項目があった場合。精密検査をして下さい。
分かりにくいかもしれませんが、CEAは乳がん、胃がん、大腸がん、甲状腺がんでも高値を示します。
なのでどこに、がんがあるかの検査(精密検査)が必要になります。
胃がん(男性2位、女性3位)
- 胃部X線検査
- CT・MRI
胃部X線検査
バリウムの飲んで検査する検査方法です。これに関しては結構知名度高いのではないでしょうか?結構辛いとのことで有名です。これは進行がんには強い検査です。
CT・MRI検査
これも結構有名な検査ですね。CTはX線を用いた検査で、MRIは磁場によって検査をする方法になります。
高額な検査でもあります。機器が高額なため、置いてない施設もありますので事前確認が必要です。
ピロリ菌検査
胃がんの原因として有名なピロリ菌です。抗体量で検査する方法です。一緒にペプシノーゲン検査を合わせて行う胃がんのABC分類という検査もあります。
大腸がん(男性3位、女性1位)
便潜血検査
大腸がんなどがある場合、便に血液が混ざります。血液が便中にあるかの検査です。間接的に見る検査になりますが、一般的にはこの方法です。
下部内視鏡検査
大腸に便潜血検査が陽性や、問診で大腸がんが疑われる場合に行われる検査になります。
最初からこの検査を受けてしまえば、検査結果は確定できます。しかし、侵襲性が強い検査でもあるため通常は、便潜血検査を行って陽性時に進みます。
準備も大変なため、時間も結構かかります。痛みも少しあります。
前立腺がん(男性6位)
血液検査・腫瘍マーカー
男性特有の疾患になります。これに関しては人間ドックで受けるのであれば一択です。PSA検査になります。
この検査に関しては感度(がんの的中率)が80%程度と高いためおすすめ。前立腺がんが心配なら、この検査を受けておいて下さい。
乳がん(女性5位)
- 乳腺超音波検査
- マンモグラフィ
- 血液検査(腫瘍マーカー)
超音波・マンモグラフィ
乳腺超音波もマンモグラフィも画像診断の検査になります。この2つはそれぞれ長所と短所があるため、2つの検査でそれぞれを補い合っています。
なのでどちらも受診することをおすすめします。
血液検査(腫瘍マーカー)
CA15-3、CEA、NCC-ST-439が対応腫瘍マーカーです。これに関しては、健診や人間ドックの項目としてはあまりお勧めできません。
初期の乳がんでは値が値が上昇することが少ないです。スクリーニング(ふるい分け)にはあまり向きません。
子宮がん(女性8位)
細胞診検査
子宮に関しては体部と頸部それぞれ検査方が異なります。
頸部であれば、子宮頸部細胞診、経腟超音波検査。人間ドックや健康診断などではこっちを指すのが一般的です。
体部であれば、子宮内膜細胞診ですがこれに関しては行っていない病院も多数ありますので、事前に確認して下さい。
血液検査(腫瘍マーカー)
SCCとCEAが子宮の腫瘍マーカーになります。
SCCもCEAも複数のがんで数値があがるため、感度があまり高くありません。
がん検査の必要性
これに関しては日本という国を飛び越え、世界保健機関WHOで推奨されています。
そしてWHOでは、がんは1/3は予防可能で、1/3は治療可能と言っています。それには人間ドックなどの検査によって早期発見することが重要になります。
手も足も出ないがんは確かにあります。しかしこの死亡率の高いがんは完治できるものも多いのです。
胃がん、大腸がんに関しては、早期発見で前がん病変であれば100%の治療ができるという医師もいます。ピロリ菌も除菌はできます。
なので、国も力を入れて補助金を出して健康診断を受けるように推奨しています。わざわざお金を払ってまで健康診断を受けるようにしているのですから必要性は感じますよね?
最近は特定健診といって、がん検診以外にも補助金が出るようになっています。市町村によって異なりますので、確認して下さい。
自己負担0円で受診できる市町村も多いです。
まとめ
※コチラも厚生省労働省のデータです。
悪性新生物の伸びが目立ちます。
命を失わなければ、チャンスはあります。
命は大切にしたいです、忙しいからと言ってそれは命よりも大切でしょうか?命を失えば、大黒柱だった場合1人の命では済まないかもしれません。
そして間違ってはいけないのが、人間ドックや健康診断に関しては対象は健康な人です。症状がないから平気ではなく、症状がない人が行くものです。
健診は定期的に受診していきましょう!
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